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 かつて芸術とは神の領域であり、宗教の象徴やその儀式などから生まれ出るものであった。その芸術を創造した個人は注目されることはなかったが、西欧において個人主義が確立すると共に、個人の創造性が高く評価されるようになっていった。
 ラヴェルが活躍したのはその時代であり、フランスにおいては印象派、キュービズム、シュールレアリズム、アールヌーボー、抽象派、ダダイズムなどあらゆる様式が誕生し、著名な芸術家や芸術家グループが数多く誕生した最も文化的に栄えた時代の一つであった。

 古典主義、東方に対する憧憬、インスピレーション、そして時計細工のように緻密なラヴェルの作品の中で特に独創性を放つのが、音楽の持つ根源的な迫力の中に、常にお伽話や幻想世界、そして女性的な儚さを感じられるところではないだろうか。

 それはラヴェルにとっての理想の女性像(アニマ)であり、原風景に存在する永遠の女性像、ミューズであり、彼の創造性の根源であったのだろう。

 ”アニマ/永遠に女性的なるもの”は、人間の集合意識の中に元型(アーキタイプ)として存在し、人の心の奥深くに共通して存在する欲望の源泉である。そして、それは芸術を通じて表現され、可視化される。

 今回の公演は、特に彼の芸術の核にある「永遠に女性的なるもの」が強く表現された作品を集めたプログラム構成となっている。

1 子供

「マ・メール・ロワ」 MA MÈRE L’OYE (映像上映)
composée entre 1908-1910
総合監督:岩田渉 共同監督:猪俣由貴 撮影:大川原涼 美術:松井香奈枝 ピアノ:福井真菜

2 目覚め

「プレリュード」 Prélude
composée en 1913

3 少女

「亡き王女のためのパヴァーヌ」 Pavane pour une infante défunte
composée en 1899

4 Intermezzo

「ハイドンの名によるメヌエット」 Menuet sur le nom d’Haydn
composée en 1909

5 出逢い

「高雅で感傷的なワルツ」 Valses nobles et sentimentales
composée en 1911

6 再会

「ボロディン風に」 à la manière de Borodine
composée en 1913

7 破壊/再生

「ラ・ヴァルス」La valse
composée entre 1919-1920

福井真菜

Piano

福井真菜 Mana Fukui

 桐朋学園大学ピアノ科在学中、モスクワに留学、ネータ・ガブリーロフ氏に師事。同大学卒業後、パリ17区コンセルヴァトワールピアノ科、伴奏科を満場一致のプルミエ・プリで卒業したのち、クラマール地方音楽院にて室内楽、声楽クラスの指導、また、シャラントン音楽院にてピアノ科教授として後進の指導にあたる。
 現代音楽にも意欲的に取り組み、シャラントン市後援の現代音楽祭、“Musique de notre temps” に定期的に参加。また、高い初見能力、室内楽の豊富なレパートリーを高く評価され、フランス政府国家音楽家資格試験(DEM)、ワディム・レーピン、イダ・ヘンデル等著名な講師陣の指導する数々の国際フェスティヴァル、コンクール等で公式伴奏員を務めつつ、パリを拠点にヨーロッパ各地でリサイタル、室内楽を中心に演奏活動を行う。
 2015年に帰国後、演奏活動を精力的に行い、2018年7月、東京オペラシティにてソロリサイタルを開催し、好評を博す。2018年より、清里萌木の村オルゴール博物館「HALL of HALLS」にて定期的にコンサートを行う。
 ピアノを今井顕、野島稔、コレット・ゼラ、ピアノ伴奏法を野平一郎、ジャン・ケルネルの各氏に師事。

公演概要

2020年10月31日(土)

開場 18:30
開演 19:00
前売 4,500円 SOLD OUT
当日 5,000円
会場 萌木の村 オルゴール博物館 ホール・オブ・ホールズ(人数制限あり)
〒407-0301 山梨県北杜市高根町清里3545 萌木の村

お問い合わせ
TEL  0551-48-3535
Mail halls@moeginomura.co.jp

主催 MuseuM Concert Series実行委員会
共催 一般社団法人オブジェ・アー
協力 萌木の村 オルゴール博物館 ホール・オブ・ホールズ
後援 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本